治療法の開発において基礎研究の成果を社会に還元するにはいわゆる「死の谷」を超える必要がある。動物実験で成果が得られたとしても,そこから先に進むにはいくつかの困難が待ち受けている。サイエンスとしては新規性に欠けるので,基礎研究者としてのモチベーションが保てない。臨床グレードで実験を行う必要があるので,多くのマンパワーや研究費を必要とする。さらに,それだけのコストをかけても成功するとは限らないので,そのリスクを取る覚悟がいる。などなど。
我々は,2018年8月1日をもって,iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いたパーキンソン病治療に関する医師主導治験を開始した。「死の谷」の例えで言うと,研究側の崖から臨床側の崖を目指してジャンプをしたところだが,今さらながらこの「死の谷」を超えるために必要な要素について考えてみたい。
我々は,2018年8月1日をもって,iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いたパーキンソン病治療に関する医師主導治験を開始した。「死の谷」の例えで言うと,研究側の崖から臨床側の崖を目指してジャンプをしたところだが,今さらながらこの「死の谷」を超えるために必要な要素について考えてみたい。