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THE COMMENTARY

化学発光タンパク質によるバイオイメージング

鈴木和志稲垣成矩松田知己永井健治

再生医療 Vol.17 No.2, 28-33, 2018

オワンクラゲから同定された緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein:GFP)を皮切りに,現在までに青色から近赤外域までの幅広い波長特性を有する蛍光タンパク質が報告され,細胞内の複数タンパク質の動態をリアルタイムに観察することが可能になった。さらに,蛍光タンパク質にタンパク質工学的な改変を加えることで,細胞内のイオン濃度やシグナル伝達の活性化状態など生体分子や細胞の“機能”を捉えるセンサーが作り出されている。このように,蛍光タンパク質を用いたライブイメージングは隆盛を極めており,一見非の打ちどころがない技術にみえるが,欠点がないわけではない。1つ目の問題点は,自家蛍光による計測バックグランドの増加である。どのような生体試料にもNAD(P)HやFADなどの蛍光性生体分子が存在し,特に観察対象の蛍光シグナルが弱い場合にはこれらから発せられる青色や緑色の自家蛍光に埋もれてしまい観察が困難になる1)。2つ目の問題点は,励起光が観察対象の状態に摂動を与えてしまうことである。例えば,光合成を行う植物細胞のような光に対して感受性がある細胞では,蛍光観察のための励起光照射により生理応答を誘導させてしまうおそれがある。また,光に対して特に感受性のない細胞でも,強い光を照射すると細胞内の色素分子による光増感反応で活性酸素が産生され細胞毒性を示すことが知られている。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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