パーキンソン病は中脳黒質にあるドパミン神経細胞が進行性に脱落変性することによって生じる神経変性疾患である。初期治療では薬物治療がよく奏功するが,病態が進行するとともに,徐々に症状のコントロールが難しくなる。根本的な原因はドパミン神経細胞の減少にあるので,その補充を目的とした細胞移植治療が注目されている。パーキンソン病は最も多く細胞移植治療が実施されている神経難病であり,ヒト胎児中脳腹側組織を移植する治療では10年以上の持続的な有効性が報告されている1) 2)。しかし,胎児組織を用いる細胞移植治療では一度に複数の胎児組織を必要とすることから,移植細胞の安定供給という面で課題が残されている。さらに一部の症例では移植後の不随意運動が明らかにされており,この原因の1つとして移植細胞の不均質性が挙げられている。
「KEY WORDS」iPS細胞/ドパミン神経細胞/再生医療/セルソーティング