OPINION
再生医療分野の産学連携推進と利益相反
再生医療 Vol.17 No.1, 7, 2018
2002年度に,政府が,「再生医療の実現化プロジェクト」を開始して早15年が経過した。2007年に京都大学の山中伸弥教授によって樹立されたヒトiPS細胞の技術は,2014年,理化学研究所 高橋政代プロジェクトリーダーおよび神戸市立医療センター 栗本康夫眼科部長らにより,加齢黄斑変性症で苦しむ患者の下に届けられ,2017年3月には,他家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞の移植も行われた。ES細胞についても,2016年,京都大学および国立成育医療研究センターが臨床応用可能なヒトES細胞の樹立を行うための計画を厚生労働省に提出,承認され,体性幹細胞に至っては,既に種々の疾患を対象に臨床応用が進んでいる。加えて,2014年に新たに「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律」が施行され,このなかで「再生医療等製品」の条件・期限付承認制度が導入されたことにより,再生医療等製品の早期の実用化が促進されることとなった。現時点で厚生労働省より承認を得た再生医療等製品は,大阪大学の澤 芳樹教授がテルモ株式会社と共同開発を進めた心不全治療用の「ハートシート」,JCRファーマ株式会社によるGVHD治療用の「テムセル®」の2件である。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。