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巻頭言

移植医としての再生医療への期待

江口晋

再生医療 Vol.16 No.4, 1, 2017

私の専門は臓器移植で,特に肝移植を担当している。海外でフェローをしていた際は脳死肝移植,心停止肝移植を主に行っていたが,現在は我が国での臓器提供数が少ないため,生体肝移植がメインとなっている。
生体肝移植の際は,適応と倫理を評価する第三者委員会を開催してもらい,主治医グループ(内科,外科)の偏った評価が入らないようする。informed consentを約2時間かけて,ご家族・関係者の皆さんへ2回直接行っているが,時に微妙な空気が漂うものである。患者救命には標準間容積の最低30%の肝臓量が必要であることが,部分肝移植の経験からわかっている。また,生体肝移植ドナーの手術は腹部外科の中でも大きな手術の1つである。その中で,例えばドナーさんは腹を括られて悠然としている,一方,ご家族がとても不安そうにされていることもある。ドナーさん夫婦に小さなお子さんがおられる場合は尚更である。逆にドナーさんがうつむき,受け手(レシピエント)が悠々とされていることもある。もちろん,ドナー手術での大きな障害,特に死亡についてまで言及し説明せねばならないため,不安を煽るのは至極当然である。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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