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Review(再生医療)

エクソソームとmicroRNA

落谷孝広

再生医療 Vol.16 No.2, 22-31, 2017

non-coding RNAの一種であるmicroRNAは,生命現象の微調整役として多くの遺伝子や蛋白質の発現制御に関与している。これまでのmicroRNAの発現解析では,多くは細胞内のmicroRNAが対象とされてきた。ところが最近になって,細胞外に分泌されるタイプのmicroRNA(分泌型microRNA,exRNAの一つとして分類)に注目が集まるようになっている。例えば,がん患者と健康成人とでは分泌型microRNAのプロファイリングに大きな違いがみられ,その違いががんの新たなマーカーとして早期診断や治療に応用できる可能性が示唆されている。分泌型microRNAは体液中を循環するが,エクソソームと呼ばれるナノサイズの細胞外小胞に包埋されるため,多くの消化酵素が存在する血漿・血清中でも安定している。特にがんをはじめとする疾患の病態や進行度合いなど,ヒトの生理状態によってその発現量や種類が大きく変化するため,血液を利用した非浸襲的な診断用バイオマーカー,リキッドバイオプシーとしても期待されている。
「KEY WORDS」microRNA,exosome(エクソソーム),MSC(間葉系幹細胞),EV(細胞外小胞)

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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