THE COMMENTARY
再生医療用iPS細胞の製造について―京都大学における実践を中心に―
掲載誌
再生医療
Vol.15 No.1 33-37,
2016
著者名
沖田圭介
記事体裁
抄録
疾患領域
眼疾患
/
再生医療
診療科目
眼科
媒体
再生医療
「はじめに」多能性幹細胞を用いた再生医療の研究が加速してきている。2010年には米国のGeron社がES細胞から神経細胞を作り,脊髄損傷を持つ患者への投与を行った。また,2012年にはAdvanced Cell Technology社(現Octa Therapeutics社)よりシュタルガルト病と加齢性黄斑変性症の患者に対して,ES細胞から作製した網膜色素上皮細胞の移植が報告された1)。本邦では,2014年に理化学研究所の髙橋政代らによってiPS細胞由来の網膜色素上皮細胞が加齢性黄斑変性症患者に移植されている。多能性幹細胞は,試験管内で旺盛な増殖能力を持つことと,多様な細胞へと分化する能力を持つことから,治療に求められる細胞種を必要な量だけ準備できると考えられている。これが,再生医療への応用を後押ししている。本稿では,主に京都大学iPS細胞研究所(CiRA)が進めている医療用iPS細胞ストックについて概説する。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。