「はじめに」現在,ヒトES細胞やヒトiPS細胞といった多能性幹細胞に由来する移植細胞を用いた再生医療・細胞治療の開発が世界中で広く展開されており,難病治療への期待が高まっている。しかし,ヒト多能性幹細胞由来移植細胞に関する汎用性の高い品質・安全性評価方法の開発とその体系化・標準化が大きく立ち遅れており,実用化における隘路となっている。特に大きな問題としては,移植細胞中に残存する未分化なヒト多能性幹細胞に起因する製品の造腫瘍性の評価法・管理法が確立されていないことが挙げられる。こうした方法の確立なしには,どのようなヒト多能性幹細胞由来移植細胞であれ,実用化・産業化を達成することは非常に難しい。
「KEY WORD」iPS細胞,再生医療,造腫瘍性,安全性,品質管理