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Review(再生医療)

再生医療におけるメカノバイオロジーの基礎

Basics of mechanobiology in regenerative medicine

曽我部正博

再生医療 Vol.13 No.1, 30-47, 2014

「はじめに」再生医療は人類の夢であるが, 実用化には多くの険しい峠を乗り越えなければいけない. 使用可能なiPS細胞が開発されても, 再生した組織が一定サイズに到達したときに増殖を停止し, 分化形質が安定に維持される必要がある. さらに, 再生組織の一部に欠損が生じれば, 直ちに脱分化(形質転換), 増殖, 移動, 増殖停止, 再分化という創傷治癒(再生)プロセスが起動し完遂されなければいけない. しかし, 再生機構の大半は謎である. その理由の1つは, 再生のプロセスに多様な力の発生とその感知機構が深く関わっているからである. その意味で「メカノバイオロジー」は再生医療を志す研究者にとって必須の基礎知識になりつつある. しかし, “力”という物理量の扱いは多くの生命科学者にとって高い敷居に違いない. 本総説は, その敷居を少しでも低くすると同時に, この分野の最新動向を伝えることを企図している.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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