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その他

山中伸弥先生ノーベル医学・生理学賞受賞を祝して

浅島誠

再生医療 Vol.12 No.1, 9-9, 2013

2012年度のノーベル賞医学・生理学賞に山中伸弥先生とJohn Gurdon先生のお二人が御受賞されたことを心から慶んでいます. 受賞のテーマは「分化した細胞を初期化する, リプログラミング」です. 私にとってはお二人の先生とはお付き合いの長短期間はありますが, 同じ幹細胞や細胞分化制御について研究をしてきた仲間として, このように世界最高の栄誉を受けられたことを嬉しく思っています. 山中先生については, 2004年開催された内藤記念財団シンポジウム「幹細胞の維持と分化の分子基盤I」で初めてお目にかかり, その時, すでに現在の初期化につながる予兆の報告をしていました. このシンポジウムは, 私もオーガナイザーの1人でした. 隔年で開催されたこのシンポジウムでは, 2006年のマウスのiPS細胞, 2008年のヒトのiPS細胞につながる世界の最先端の話をして下さいました. 山中先生にはこの3回シリーズのシンポジウムの招待者として, 御講演をしていただきました. その折, 山中先生から研究のスピードの早さなどについて, いろいろと話して下さいました. 非常に気さくな反面, 学問に対しては, 厳しく対応していることも肌で感じました. ヒトiPS細胞が今後, どのような方向で大きく発展していくのかについてはわかりませんが, 先生の学問への真摯な姿は今でも深く心に残っています. 一方, 1987年, Gurdon先生は国際生物学賞を受賞された折には, 珍しくご夫妻で来日され, 私共の家にも来て, 楽しいひとときを過ごしました. Gurdon先生とは35年余り, 同じ発生生物学の分野で交流しており, ケンブリッジ大学で開催された国際ツメガエル学会の折には, マートン・カレッジの学長をされており, その宿舎で夕食を御馳走になったりしました. 今回のノーベル賞受賞の1カ月前にはフランスのニース近くでの国際会議でも話をしたりして, 楽しみました. ケンブリッジ大学は, 彼のためにすでに5年前に「Gurdon Institute」の大きな建物の名を冠していました. それだけ研究業績も人物もケンブリッジ大学でもずば抜けていたと思って, 心から今回の受賞を喜んでいます. Gurdon先生が1962年に発表してから50年, そして山中先生がiPS細胞を発表してから6年の歳月で分化細胞の初期化を一方は細胞質因子で, 一方は核内の転写因子で, 制御したことは生命科学の中での金字塔といえる大きな発見である. お二人の益々の今後のご発展を大いに期待したい.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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