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再生医療最前線
ヒト間葉系幹細胞を用いた肝再生医療研究の現状と展望
掲載誌
再生医療
Vol.8 No.1 95-103,
2009
著者名
汐田 剛史
記事体裁
その他
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全文記事
疾患領域
消化器
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再生医療
診療科目
消化器内科
/
消化器外科
媒体
再生医療
「はじめに」ギリシャ神話の時代より旺盛な再生能力をもつことが知られる肝臓の再生医学研究は古くて新しい研究領域である. 1932年に70%部分肝切除モデルが報告され, 実験的な肝再生研究がスタートした. その後, 1964年に米国ハーバード大学Bucher教授らによる有名なクロスサーキュレーション実験より, 肝再生を促進する液性因子の存在が予見され, その後, 初代肝細胞培養技術と蛋白精製技術の発達により, 1989年にはわが国の2つの研究グループが独立して肝細胞増殖因子(HGF)遺伝子のクローニングを報告した. 肝臓領域のみでなく, 1990年代後半から再生医学研究が加速している. 最近の再生医療への関心の高さについて, いくつかの原因が指摘される. 1つには, 再生医療の治療ポテンシャルへの期待がある. 臓器不全のみでなく, 癌の治療においても癌組織の除去後の組織修復に応用可能であり, 単一遺伝病にも遺伝子導入技術との併用により治療の可能性が見い出され, 研究自体が困難であった変性疾患に対しても再生医学の技術導入により直接的な研究が可能となりつつある.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。