特別記事
iPS細胞への期待 肝臓領域から―iPS細胞と肝疾患
再生医療 Vol.7 No.2, 100-104, 2008
「はじめに」肝臓の機能は糖質, 蛋白質, 脂肪の代謝をはじめビリルビン代謝, 薬物代謝, 血液凝固因子の生成など多岐にわたり, その数は数百にも上る. よって, 長期に及ぶ慢性肝臓疾患は言うまでもなく, たとえそれが一時的なものであれ, 重篤な肝臓疾患は患者の生命にとって極めて危険である. このようなlife-saving organとしての肝臓を標的にした細胞治療を推進するために, いかなる細胞と細胞外マトリックスをどのような環境下で培養するのかといった研究が現在進められている. こうした細胞ソースとして, 近年, 分化多能性を保持しつつ, ほぼ無限に増殖させることができるヒト胚性幹細胞(Embryonic Stem cells:ES細胞)が樹立され1), 肝細胞をはじめとして, 各種組織の分化細胞への分化誘導に関する研究開発が行われている. そして, 2006年8月に, 京都大学再生医科学研究所の山中伸弥教授らが, マウスの胚性線維芽細胞に4つの因子(Oct3/4, Sox2, c-Myc, Klf4)を導入することでES細胞のように分化多能性をもつ人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells:iPS細胞)が樹立できることを発表し2), 2007年11月にはヒトの大人の細胞でもこうしたiPS細胞が作製できることが示された3)4).
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。