Ⅱ.生殖医療と再生医療における倫理
生殖医療における倫理的思考の問題点
再生医療 Vol.7 No.2, 54-57, 2008
「はじめに」子供がいない夫婦が子供をもちたい願いは古今東西変わりがない. 古代ではこういった願望に対する対応はシャーマニズム的に占い師によって行われていた. 近代になって, 排卵予測などの方法が進歩し, ようやく生殖現象に向き合える体制が整ったが, まだそのほとんどを自然にゆだねる状況であった. そして, 生殖医療革命ともいえる重大なブレークスルーが起こった. 体外受精胚移植法の発明である. この発明によって, 生殖医療は一変し, その成功率も格段に上昇した. この技術は多くの派生技術を生み出し, それらの先進技術の利用は好むと好まざるとにかかわらず生殖医療を行うすべての人に倫理問題に直面することを余儀なくさせたのである. わが国における生殖補助医療の現況 日本産科婦人科学会の調査1)によると現在新鮮胚体外受精, 新鮮胚顕微授精そして凍結胚移植を行う登録施設数はそれぞれ, 542, 361, 435施設でこの数は世界一である.
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。