Ⅰ.再生医工学のための材料工学・加工技術の最前線
Overview
再生医療 Vol.7 No.2, 14-16, 2008
病変臓器と置換する人工材料のみで作製される人工臓器は20世紀後半の医療の質と量を大きく変えた. 一方, 1990年代より細胞を主役とする組織の生体内外で再構築する組織工学の研究分野が急速に発展し, 臨床応用されつつあり, 人工臓器と移植臓器の間に位置する治療の選択肢を与えつつある. これを実現するためには, 人工物と生体間の“自己化を獲得した”接合部(バイオインターフェース), 微視的な細胞外環境の整備および複雑なる階層性および立体構造の組織の設計・加工・構築技術の一連のシステムが必要であり, 精密材料工学やロボット技術, マイクロマシンおよびナノメディシン技術が再生医療の基盤技術としてそれらの分野の研究者の参入によって加速度的に進展しつつある. 材料工学の分野では, 進展の著しい光科学やITを組み込んだ測定機器を駆使する最新の科学技術をもってすれば, 材料の構造や動きは, 好むと好まざるとにかかわらず空間的にはナノサイズ, 時間的にはピコ秒のオーダーで考察されることを余儀なくされる時代が到来しつつある. 一方, 生体はナノサイズの複合体の精密な集合体とみなせる.
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。