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巻頭言

iPS時代と共に来るもの

牧野恒久

再生医療 Vol.7 No.2, 11, 2008

昨年来, 京都大学の山中伸弥教授らが作製に成功した万能細胞(iPS細胞, 人工多能性幹細胞)の研究の成果を生かそうとする動きが急である. 特に国の支援策は, 過去の研究支援策にはみられなかった文科省, 厚労省, 経産省, 特許庁など各省横断的に2008年には約33億円の研究費が投入される予定である. これに呼応して山中教授を中心とした総合的な研究センターの立ち上げも急ピッチで進められている. 久しぶりにわが国が主導しうるこの研究領域への支援は, 臨床への応用になお時間を要してもより積極的でありたい. と同時に現時点で予想しうる問題点も4, 5点指摘しておきたい. 最重要に思える第1点は, 各種細胞の分化誘導におけるepigeneticsの解明である. iPS細胞からなぜ固有な細胞へ分化し得るのか, 両者の間に介在する暗箱の中身, 分化のメカニズム解明への研究は怠ってはなるまい. 幸い年内にもマウスに続いてヒトのiPS細胞のepigenetics解析が行われるという動きに期待したい.

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