癌治療への再生医療の応用
癌治療における神経再生の応用
再生医療 Vol.5 No.2, 99-103, 2006
「はじめに」局所進行直腸癌に代表されるような癌の手術では, 癌の根治性を追及すれば癌進展の可能性のある領域を十分広範囲に切除する目的で下腹神経などの神経の合併切除を行う必要が大となり, その結果神経切除による機能障害という術後QOLの悪化が避けられない. 他方, 術後のQOLを追及すれば, 癌原発部位近傍に位置する下腹神経などの神経合併切除がもたらす機能障害という術後QOL悪化を避けるためには, 癌近傍の切除範囲を十分に広範囲には取れず, その結果癌に対する手術の根治性を低下せざるを得ない. 以上のように, 癌の進展が神経に及ぶ可能性がある局所進行癌に対する従来の手術戦略では, 「癌の根治性か? それとも, 術後のQOLか?」というジレンマが存在していた(図1a). このようなジレンマを解決するべく, 筆者らは末梢神経を再建する神経再生チューブを開発し, 神経合併切除を選択して癌の根治性を追求し, かつ切除神経は神経再生チューブにより再生して術後のQOL改善を行うことを試みた(図1b). 本報告ではその基礎的研究と臨床応用の結果を述べる.
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。