2019/2020年シーズンのインフルエンザの流行は例年と異なっており,2020年に入ってからは患者の発生は例年に比較して著しく少なく,この時期にはCOVID-19の流行もみられた.インフルエンザの治療に,日本では4つのノイラミダーゼ(NA)阻害薬とバロキサビル マルボキシル(以下,バロキサビル)が使用されている.日本臨床内科医会インフルエンザ研究班の2019/2020年シーズンの検討では,NA阻害薬とバロキサビルの臨床効果はほぼ同等であると思われた.2019/2020年シーズンに流行したインフルエンザウイルスのNA阻害薬への感受性は,A(H1N1)pdm09の一部にオセルタミビル耐性ウイルスが治療前に検出されたが,全体としては保たれていた.バロキサビルへの感受性が低下していると考えられる変異株は,治療前には検出されなかったが,バロキサビル投与後に2例から検出され,その治療効果への影響は確認されなかった.
「KEY WORDS」インフルエンザ,ノイラミダーゼ阻害薬,キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬,耐性ウイルス,解熱時間