シリーズ「ウイルスよもやま話」の第6回目は,インフルエンザウイルスの抗原変異の話題です.
毎年,冬に流行する季節性インフルエンザは,高齢者や乳幼児で重症化しやすく,社会的に大きな影響を及ぼします.インフルエンザの予防としては,一般的に,ワクチンが使用されており,ワクチン株と流行株との抗原性が一致すれば,ワクチンの有効性が高まると考えられています.しかし,インフルエンザウイルスの抗原性は頻繁に変異するため,次のインフルエンザシーズンにおいて,どのような抗原変異株が流行するのかを予測することは非常に困難です.
季節性インフルエンザウイルスは,A型インフルエンザウイルス(A型ウイルス)とB型インフルエンザウイルスによって引き起こされますが,本稿ではA型ウイルスについて述べます.