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治療(インフルエンザ)

バロキサビル マルボキシルの耐性について─季節性インフルエンザには使うべきではない

菅谷憲夫

インフルエンザ Vol.20 No.3, 13-16, 2019

バロキサビル マルボキシル(以下バロキサビル,商品名ゾフルーザ®)で治療すると,A型インフルエンザ患者では,高率に耐性が発生することは治験段階で明らかであった(A香港型に対し成人で10.9%,小児で25.7%,H1N1pdmに対し成人で3.6%).さらに2018/2019年シーズン,実際に臨床で使用され,高率に耐性が発生し,耐性ウイルスが感染することも実証された.バロキサビルで治療したB型の小児では再発熱が多発したため,投与量不足が示唆され,現在,高用量の治験が実施されている.バロキサビルは,季節性インフルエンザの外来治療に適した抗インフルエンザ薬ではなく,オセルタミビル(商品名タミフル®)の代わりに使用すべきではない.ノイラミニダーゼ阻害薬と併用し,耐性を抑えて,入院重症例あるいは新型インフルエンザ感染例での治療効果が期待される抗インフルエンザ薬である.
「KEY WORDS」バロキサビル マルボキシル,ゾフルーザ®,耐性,インフルエンザ

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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