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Influenza座談会

肺炎の治療と予防

黒﨑知博宮下修行柏木征三郎

インフルエンザ Vol.20 No.3, 7-12, 2019

柏木(司会) 本日はわが国の高齢化に伴って死亡者数が増加している肺炎の治療と予防について,各先生方と考えていきたいと思います.肺炎には市中肺炎と院内肺炎がありますが,本座談会では特に市中肺炎を中心に討論を進めてまいります.市中肺炎には入院治療を要するものと外来治療が可能なものがあり,それぞれ異なった対応が求められます.宮下先生,両肺炎の主な違いは何でしょうか.
宮下 1つには病原体が強毒菌か,弱毒菌かという違いが挙げられます.肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)やLegionella pneumophilaによる肺炎では生体内で炎症が広がりやすく,重症化しやすくなります.一方,Mycoplasma pneumoniaeは弱毒菌で“walking pneumonia”と呼称されるように軽症肺炎が多く,入院治療を必要としない場合が多いです.
入院治療か外来治療かを分ける2つ目の違いは宿主側の因子です.市中肺炎の重症度分類法として,年齢(age),脱水(dehydration),呼吸不全(respiration),意識障害(orientation),血圧低下(pressure)の5項目によって重症度を評価するA-DROPが作成されています1).軽症(0項目該当)では外来治療が選択され,中等症(1~2項目該当)では外来または短期入院での治療が選択されます.該当する項目数が増えるほど入院治療が必要となるため,入院治療と外来治療を分ける判断基準として宿主側の因子も重要となります.
柏木 病原体の性質とともに,宿主の状態を勘案して入院治療か外来治療かを判断することが重要ですね.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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