<< 一覧に戻る

巻頭言

臨床医からみた「インフルエンザ学」の現状と課題

佐藤晶論

インフルエンザ Vol.20 No.3, 5-6, 2019

「インフルエンザ学」は,「基礎インフルエンザ学」と「臨床インフルエンザ学」の2つのカテゴリーに分類される.
西暦2000年以降,それまでの「インフルエンザ様疾患」が迅速診断キットの普及により「インフルエンザ」と確定診断されるようになり,「(何の根拠もない)二次感染予防のための抗菌薬投与」が「抗ウイルス薬投与」へと変化し,根拠に基づいた治療が可能となった.「基礎インフルエンザ学」の成果が日本のインフルエンザ診療を劇的に変化させることにつながったのだが,一方で,医師の意識をも大きく変えたように思う.
それ以前の冬の小児科は,高熱を伴うインフルエンザ様疾患患者の外来受診者数や入院者数が各段に増える時期であり,入院しないまでも脱水のため点滴治療を受ける子どもたちで点滴室は常に満員の状態が続き,小児科医にとっては毎日が目の回る忙しさであった.私がインフルエンザ研究の世界に足を踏み入れたのも,臨床の現場で重症なインフルエンザの児を多く診てきたことがきっかけであった.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る