バロキサビルは,従来とは作用機序が異なる新規の抗インフルエンザ薬である.経口服薬後の血中半減期は100時間近く,強い抗ウイルス活性と相まって単回投与で治療が完了する.本剤の単回投与はオセルタミビルの5日間,計10回投与と同等の臨床効果を示し,2~5日目のウイルスの減少は有意に早く,副作用の頻度はオセルタミビルより有意に低い.治療後に感受性の低いI38変異ウイルスが一過性に出現する例があるが,増殖速度はきわめて遅く,数日後には検出されなくなり,臨床的には問題がないと考えられる.本剤は,投与後早期のウイルス減少によって,インフルエンザの伝播・拡散を従来の薬剤よりさらに抑え得る疫学的にも有用な薬剤と考えられる.
「KEY WORDS」インフルエンザ,抗インフルエンザ薬,バロキサビル,キャップ依存性エンドヌクレアーゼ,単回投与
「KEY WORDS」インフルエンザ,抗インフルエンザ薬,バロキサビル,キャップ依存性エンドヌクレアーゼ,単回投与