新型インフルエンザ等のパンデミック発生に備え,各地域において,研修会の開催や訓練の実施などさまざまな準備が行われている.発生早期の連絡訓練,患者発生を想定した机上訓練,個人防護具の着脱を含む実働訓練などが挙げられる.
地域のパンデミックプランニングを行ううえで,このような訓練の実施は,もちろん重要であるが,新型インフルエンザ等発生時に対応を行う行政担当者や医療従事者の安全確保,および,まん延期の医療体制を構築するうえで,ワクチンと抗インフルエンザウイルス薬の確保も求められる.なお,ワクチンについては,流行するウイルスの型が重要であるため,特にプレパンデミックワクチンを検討するうえでは,どのタイプのウイルスがパンデミックを起こす可能性が高いかを事前に評価しておく必要がある.
本稿では,パンデミック発生のリスク評価を行った米国Centers for Disease Control and Prevention(CDC)のInfluenza Risk Assessment Tool(IRAT)1),ならびに,日本の(プレパンデミック・パンデミック)ワクチンおよび抗インフルエンザウイルス薬の準備状況について紹介する.