富山大学産科婦人科学教室は専門ごとに分野を分け,それぞれが独自の研究を行い,特に周産期医療と不育症の分野では最先端の成果を挙げている.同教室の教授である齋藤滋先生は,附属病院の病院長として,患者さんへの研究成果の還元も重視している.また齋藤滋先生は,H1N1パンデミックの起こった2009年に,日本産科婦人科学会内に設立された対策チームの委員長として,妊婦死亡ゼロの目標に向けて尽力された.当時のパンデミックへの対策を含め,妊婦のインフルエンザ対策を中心に幅広くお話を伺った.
「特に妊娠後期ではインフルエンザに起因する肺炎が重篤化しやすくなる」
―教室の沿革と概要について,簡単にご紹介ください.
齋藤:1975年に,医学部と薬学部の2学部で構成される全国唯一の大学として,富山医科薬科大学が開校しました.2005年には富山大学,高岡短期大学と合併して新しい富山大学が誕生し,現在に至っています.