現在日本で使用されているのはウイルス表面蛋白であるヘマグルチニン(HA)を精製した不活化HAワクチンで,その効果は限定的であり,感染予防効果は不十分と考えられています.その原因のひとつとして,感染局所での免疫が誘導されていないのではないかという意見があります.一方,生ワクチンでは上気道で局所免疫を誘導できると考えられています.低温でしか増殖できない馴化ウイルスを鼻腔に噴霧し,一過性の感染を起こすことで局所での強い免疫を誘導するFluMist®は,米国で2~49歳,欧州では2歳以上18歳未満で承認されています.このワクチンは日本でも治験が実施され,2~18歳を適応として承認申請が行われる見込みです.このワクチンではワクチン株と少し抗原性の異なったウイルスに対しても不活化ワクチンより効果が高いことが知られています.
「Key Words」インフルエンザワクチン,生ワクチン,経鼻ワクチン,FluMist®