診断(インフルエンザ)
新しい迅速診断法─銀増幅イムノクロマトグラフィー法を用いたインフルエンザ診断システム
インフルエンザ Vol.16 No.1, 49-56, 2015
銀増幅イムノクロマトグラフィー法は,従来のイムノクロマトグラフィー法に写真現像原理による銀増幅過程を加えることによって,検出感度の向上を図った,新しい迅速検査システムである.本システムはさらに,抗体の工夫により感度向上に伴う非特異反応の増加を抑制している.インフルエンザ試薬の基礎的および臨床的評価試験では,既存の迅速診断キットより良好な感度を示し,特異度も同等であった.機器による自動判定であるため,簡便性も高く,有用な迅速検査システムであると思われる.
「はじめに」インフルエンザの診療においては,抗インフルエンザ薬の早期投与が原則であり,その適切な投与に当たっては,インフルエンザウイルス抗原検査試薬,いわゆる迅速診断キットがpoint of care testing(POCT)として重要な役割を果たしている.ほとんどの試薬が,イムノクロマトグラフィー法という簡便な検査原理によるものであるが,臨床評価成績によれば,適切な検体が採取されればその感度は90%前後に,特異度は100%近いと評価され,POCTとして十分な性能を有していると考えられる.
「KEY WORDS」インフルエンザ,迅速診断,イムノクロマトグラフィー,銀増幅
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。