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QUESTION & ANSWER(インフルエンザ)
新型インフルエンザウイルスはアンティジェニックドリフトを起こし始めているのでしょうか.
掲載誌
インフルエンザ
Vol.11 No.2 1102-85,
2010
著者名
小田切孝人
記事体裁
連載
/
Q&Aシリーズ
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全文記事
疾患領域
呼吸器
/
感染症
診療科目
一般内科
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呼吸器内科
/
耳鼻咽喉科
/
老年科
/
小児科
媒体
インフルエンザ
A 現時点では, まだほとんどドリフトは起こっていません. ブタ由来の新型インフルエンザウイルス(A/H1N1pdm)が世界中で大流行してから9ヵ月が経過した現在でも, 解析した国内外の分離株の95~99%は, ワクチン株A/California/7/2009と抗原性が類似しています. しかし, 抗原変異株もわずかながらみつかっており, それらは赤血球凝集素(HA)蛋白のK153E(153番目のアミノ酸がリジンからグルタミン酸へ変化), K154E, G155EまたはN156Eアミノ酸置換を起こしていることが知られています1). 国内分離株ではA/神戸/92297/2009(G155E), 海外分離株ではA/Bayern/69/2009(G155E), A/Norway/3206/2009(N156E)などがこれらの変化をもった抗原変異株です. ただ, オリジナル臨床検体中のウイルスには, これらの変異はみつからないことから, 培養細胞または孵化鶏卵での分離過程で変異が起こった可能性が示唆されています.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。