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治療(インフルエンザ)
オセルタミビル耐性H1N1ウイルスの治療
掲載誌
インフルエンザ
Vol.11 No.1 57-62,
2010
著者名
河合直樹
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岩城紀男
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川島崇
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田中治
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前田哲也
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池松秀之
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柏木 征三郎
記事体裁
連載
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全文記事
疾患領域
呼吸器
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感染症
診療科目
一般内科
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呼吸器内科
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耳鼻咽喉科
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老年科
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小児科
媒体
インフルエンザ
2008/2009年シーズンのH1N1はほとんどがH274Y変異によるオセルタミビル耐性であり, 2007/2008年のH1N1よりも同薬のIC50が約200倍に増加(感受性が1/200に低下)していた. ウイルス残存率や解熱時間などの検討からオセルタミビルは特に小児において有効性の低下が明らかであった. 一方, ザナミビルは有効性の低下はみられなかったが, 小児や高齢者などでは使用が困難な場合もある. また, 本耐性ウイルスに有効とされるアマンタジンは現在流行している新型H1N1やH3N2には耐性である. このような状況下で漢方薬の麻黄湯は耐性H1N1ウイルスに一定の効果を示した. 新しい抗インフルエンザ薬の開発も進んでいるが, 当面はサーベイランスによる流行亜型や薬剤耐性の状況を十分に把握しながら, 治療を選択することが重要と思われる. 『はじめに』 2007年11月頃から北欧中心にH274Y変異によるオセルタミビル耐性H1N1ソ連型が高頻度に出現したが1), この2007/2008年シーズンは日本での本耐性ウイルスの頻度は低かった(約3%).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。