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                基礎(インフルエンザ)
              
 CS-8958はなぜ1回投与でよいのか
                  掲載誌
                
 
                  インフルエンザ
                  Vol.11 No.1 23-28,
                  
                    2010
                  
 
                    著者名
                  
  
                          小山久美子
                        
 
                    記事体裁
                  
  
                          連載
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                    疾患領域
                  
  
                          呼吸器
                        / 
                          感染症
                        
                    診療科目
                  
  
                          一般内科
                        / 
                          呼吸器内科
                        / 
                          耳鼻咽喉科
                        / 
                          老年科
                        / 
                          小児科
                        
 
                    媒体
                  
 
                      インフルエンザ
                    
 新規ノイラミニダーゼ阻害薬であるCS-8958は, 活性体R-125489(laninamivir)に直鎖アルキルエステルを付加したプロドラッグであり, インフルエンザウイルスのマウス感染モデルにおいて1回経鼻投与で優れた効果を示す. マウスにおける薬物動態試験の結果, 経鼻投与されたCS-8958はR-125489に変換されたのち気管や肺などに長時間貯留することが明らかとなった. さらにこの貯留性は類薬であるザナミビルよりも高かったことから, このような薬物動態的特長が本薬の1回投与による抗インフルエンザウイルス作用の持続に寄与しているものと考えられた. 『はじめに』 インフルエンザは, 主として飛沫によって伝播するウイルス性の呼吸器感染症であり, 特に抵抗力の弱い高齢者や基礎疾患を有する患者ならびに乳幼児などの場合には重症化し, 死に至るケースもある. 抗インフルエンザウイルス薬としては, ノイラミニダーゼ阻害薬であるオセルタミビル(タミフル(R), 経口薬)およびザナミビル(リレンザ(R), 吸入薬)が認可されているが, 2007年11月以降にオセルタミビルに耐性を示すインフルエンザウイルス(H1N1)が欧州を中心に高頻度に分離され始め, 国内でも2008/2009年に流行したH1N1型インフルエンザウイルスはほとんどがオセルタミビル耐性であった.
          ※記事の内容は雑誌掲載時のものです。