基礎(インフルエンザ)
スペインかぜウイルス
インフルエンザ Vol.7 No.4, 23-26, 2006
スペインかぜは, 1918年から翌年にかけて世界的に流行したHIN1型のA型インフルエンザウイルス感染症である. 世界的には2,000万~4,000万人, 日本においても約38万人が死亡したといわれている. 1999年に開発されたリバースジェネティクス法を用いることで, 解読されたスペインかぜウイルスの塩基配列から当時のウイルスを再現し, そのヒトへの病原性の発現機構を探索することができるようになった. 現在, H5N1ウイルス感染時にみられている状況には, スペインかぜ流行当時の記録にあるパンデミック前の状況との類似点が多い. 近未来に予想されるパンデミックを未然に防ぐためにも, スペインかぜの解析は重要である. 「はじめに」スペインかぜの原因ウイルスは, HIN1亜型のA型インフルエンザウイルスで, 1918年(大正7年)から翌年にかけて流行した. 全世界で2,000万~4,000万人の死者が出たといわれ, 20世紀に人類が経験した3度にわたるA型インフルエンザウイルスの世界的な流行(パンデミック)のうち, 最も甚大な被害を及ぼした.
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。