今が旬!マイクロRNA・エクソソーム最前線
循環器領域におけるmiRNAの重要性
血管医学 Vol.17 No.3, 115-121, 2016
「Summary」マイクロRNA(miRNA)研究の進展から,循環器疾患における詳細な働きが明らかにされつつある.遺伝子改変マウスを用いた検討により,生体内での複雑な機能が報告されてきた.また,血中や体液中にもmiRNAは存在し,癌のみならず,循環器領域においても疾患のバイオマーカーとして応用できる可能性がある.さらに,合成核酸を用いたmiRNA制御法の発展により,従来の小分子薬物では不可能であったような治療法の開発に対する期待も高まっている.
「はじめに」多くの治療薬やデバイスの開発により,循環器疾患の予後は大幅に改善してきた.しかしながら,依然として心血管疾患は死因の上位を占めているため,より深い病態の理解と新規の治療法の開発が望まれる. 近年の研究の進展から,マイクロRNA(miRNA)が心血管疾患において重要な働きをしていることが明らかになり,かつ有力な治療標的のひとつと考えられている.miRNAは血中および体液中にも存在し,心臓や血管の異常の際に特徴的な発現変化を示すことから,これらの病気のバイオマーカーとしても利用できる可能性がある.
「KEY WORDS」miRNA ,心肥大,動脈硬化,心不全,線維化
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。