「Summary」心臓や血管の細胞は,血圧や血流に起因する伸展張力や剪断応力など力学的刺激をセンシングし,応答することで循環系の働きの恒常性を維持しており,それが正常に働かなくなると心血管病の発生につながる.最近,細胞形質膜のメカノセンサーとしての役割が明らかになってきた.内皮細胞に力学的刺激が作用すると即座に膜リン脂質の相転移が起こり,膜流動性が変化する.この変化は人工脂質二重膜でも観察され,物理現象と考えられる.この形質膜の物性変化が細胞膜に存在あるいは結合しているさまざまな分子やミクロドメインの立体構造に影響を及ぼし,ひいてはそれらの機能を修飾することで,下流のシグナリング経路が活性化するメカノセンシングの仕組みが想定される.
生命機能を支えるメカノセンシング
循環系のメカノセンシング
掲載誌
血管医学
Vol.17 No.3 95-104,
2016
著者名
安藤 譲二
/
山本 希美子
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
血液
診療科目
血液内科
/
循環器内科
媒体
血管医学
Key Words
内皮細胞,形質膜,脂質相転移,膜流動性,メカノセンサー
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。