「Summary」肺動脈性肺高血圧症(PAH)の病理学的解析は,20世紀後半に確立されたHeath-Edwards分類を中心に展開されてきた.基礎研究・臨床医学の発展,有効な治療薬の登場により,PAH の血管病理学も変化しつつある.特に,動脈病変に加えて,治療抵抗性の基盤と考えられる静脈病変の評価は重要であり,現在のPAH血管病理分類では,肺動脈症,肺閉塞性静脈症,肺微小血管症,分類不能という4つに分類し,併存病変を付記することが重視される.PAHにおける血管リモデリングのメカニズム,肺静脈閉塞症(PVOD)や全身疾患に伴う肺高血圧症なども併せて解説する.