「Summary」肺高血圧症の原因はさまざまであるが,多くの肺高血圧症で女性が男性より多い傾向にあることは古くから知られている.一方で,ほとんどの実験的肺高血圧症において,メスや女性ホルモンは肺高血圧症発症に抑制的に働くことが示されてきた.この「estrogen paradox」は長らく謎に包まれていたが,近年,肺高血圧症における性ホルモンの研究が積み重ねられ,性ホルモンとその代謝産物が肺高血圧症発症に及ぼす影響や,性ホルモンとBMPR(bone morphogenetic protein receptor)シグナルのクロストークなどが明らかにされつつある.本稿では,肺高血圧症の疫学を起点に,肺高血圧症発症メカニズムにおける性ホルモンの役割に焦点を当て,基礎的・臨床的側面から最近の知見を紹介する.
特集 肺高血圧症の最新知見と新展開
肺高血圧症発症メカニズムにおける性ホルモンの役割
掲載誌
血管医学
Vol.17 No.3 37-44,
2016
著者名
小垣 滋豊
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
高血圧
/
血液
/
呼吸器
診療科目
産婦人科
/
血液内科
/
循環器内科
媒体
血管医学
Key Words
エストロゲン,エストロゲン受容体,性ホルモン代謝産物,BMPシグナル,肺高血圧症
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。