肺高血圧症は肺動脈圧が上昇するという表面上の共通の特徴はあるものの,その病因は複雑多彩であり,疾患ごとのその成立機序はこれまで明らかになっていなかった.また,本症はそれまでは存在は知られていても,有効な治療法がなかったために,ほとんどの医師・研究者からは興味を持たれなかった.ところが,プロスタグランジン製剤,エンドセリン受容体拮抗薬,ホスホジエステラーゼ阻害薬の登場とともに生命予後は格段の向上を見ることになり,本症の治療法はこの15 年間で大きく進歩した.