血管医学検査:基礎から臨床へ
ICG蛍光リンパ管造影法
─世界へ発信されたリンパ管還流機能評価法
血管医学 Vol.17 No.2, 101-107, 2016
「Summary」四肢のリンパ節が切除されると,短期間のうちに末梢リンパ管の拡張,平滑筋細胞の変性消失が起こる.平滑筋細胞は再生するが,リンパ流の回復が起こらない限り小型平滑筋細胞に留まり,リンパ管の機能不全が続く.皮下浅層に還流機能を持つリンパ管が存在すれば,ICG蛍光リンパ管造影法によってリンパの流れが赤外線カメラで確認できる.2007年,われわれはこの検査法でリンパ浮腫におけるリンパ管の位置と還流機能が推定・評価できることを内外に発信した.9年後の現在,本法は世界中に普及し,リンパ浮腫の必須ルーチン検査法となった.また,本検査法はその後リンパ浮腫の予防的吻合術を推進するとともに,血管柄付きリンパ管(リンパ節)移植法など,リンパ系の還流機能を再建する各種最新治療の開発につながるとともに,重症度に応じた治療法選択の基準となっている.
「KEY WORDS」ICG蛍光リンパ管造影法,リンパ浮腫,リンパ管細静脈吻合術(LVA),微小外科,超微小外科
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。