特集 機能性脂質・脂肪酸の多彩な生理活性と病態形成
脂肪酸鎖長と病態制御
血管医学 Vol.17 No.2, 67-73, 2016
「Summary」生体内の脂肪酸は炭素鎖長および二重結合の数と位置により多種類存在する.このような多様性は脂肪酸伸長酵素(elongase)と不飽和化酵素(desaturase)によって生み出される.脂肪酸伸長酵素はELOVL1~7の7つのアイソフォームが存在し,基質とする脂肪酸の鎖長や不飽和度,組織分布,発現調節がアイソフォームによって異なる.また,ノックアウトマウスの解析やヒトでの遺伝子変異の解析などにより,各脂肪酸伸長酵素の脂質ホメオスタシスや疾患における役割が明らかにされつつあり,脂肪酸伸長酵素がさまざまな疾患の新規治療標的として期待される.
「はじめに」生体内の脂肪酸は炭素鎖長および二重結合の数と位置により多種類存在する.哺乳類では,細胞質の脂肪酸合成酵素(fatty acid synthase:FAS)が脂肪酸合成において主要な役割を担い,炭素数16の飽和脂肪酸であるパルミチン酸(C16:0)まで合成される.
「KEY WORDS」脂肪酸伸長酵素,3型シュタルガルト病,肥満,インスリン抵抗性,X連鎖性副腎白質ジストロフィー
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