特集 機能性脂質・脂肪酸の多彩な生理活性と病態形成
プロスタノイドクオリティと心血管系制御
血管医学 Vol.17 No.2, 37-43, 2016
「Summary」プロスタグランジンやトロンボキサンは,アラキドン酸からシクロオキシゲナーゼ(COX)を律速酵素として産生される生理活性脂質であり,プロスタノイドと総称される.低用量アスピリンやコキシブはCOXを部分的に阻害することで心血管リスクを制御する.血漿中のω3脂肪酸は心血管リスクと負の相関を示す.本稿では,薬物や脂肪酸摂取がプロスタノイドクオリティに与える効果と心血管への影響について議論し,プロスタノイドによる心血管制御の分子機構を解説する.
「はじめに」プロスタグランジン(PG)ならびにトロンボキサン(TX)は,全身のさまざまな組織・局所でシクロオキシゲナーゼ(COX)を律速酵素として産生される脂質メディエーターであり,プロスタノイドと総称される1).アスピリンは,COXを阻害することで解熱・鎮痛・抗炎症効果を発揮するが,胃腸管障害や分娩遅延などの副作用を生じさせる.
「KEY WORDS」プロスタノイド,シクロオキシゲナーゼ,血小板,動脈硬化,ω3脂肪酸
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