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特集 機能性脂質・脂肪酸の多彩な生理活性と病態形成

脂肪酸クオリティ制御と血管医学

遠藤仁有田誠

血管医学 Vol.17 No.2, 29-35, 2016

「Summary」脂肪酸の構造は,鎖長や二重結合の数・位置の違いにより多様性を示し,その中でもω3多価不飽和脂肪酸は心血管保護作用を有し,近年注目されている.心血管疾患,特に動脈硬化や虚血性心疾患など炎症を背景に持つ疾患群では,脂肪酸組成の乱れが生理活性脂質の均衡を崩し,病態形成に関与している可能性が示唆されている.本稿では,特に脂肪酸から産生される生理活性脂質,いわゆる脂質メディエーターについて,基質となる脂肪酸の質(クオリティ)との関係およびその制御の重要性について概説する.
「はじめに」脂肪酸は,炭素鎖にカルボキシル基が付いた構造をしている.二重結合を有することで不飽和脂肪酸となり,脂肪酸を含有するリン脂質の物性を大きく修飾するため,生体膜の流動性や細胞内小器官の輸送膜形成,オートファジーなどの機能に影響を及ぼす.
「KEY WORDS」ω3脂肪酸,動脈硬化,18-HEPE,心臓リモデリング,マクロファージ

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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