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特集 機能性脂質・脂肪酸の多彩な生理活性と病態形成

リゾリン脂質メディエーターリゾホスファチジン酸による血管形成制御

木瀬亮次岡里良平青木淳賢

血管医学 Vol.17 No.2, 11-18, 2016

「Summary」血管研究において,脂質は動脈硬化促進因子として認識されてきた.しかし,ここ10年ほどの研究でリゾリン脂質メディエーターの胎生期血管形成における必須な役割が明らかになったことを契機に,血管新生の局面における新たな脂質の役割が判明しつつある.本稿では,多彩な生理活性を示すリゾリン脂質であるリゾホスファチジン酸(LPA)について,産生経路とLPAの質的多様性,受容体と想定されるシグナル経路をこれまでの知見を踏まえながら概説し,最近われわれが明らかにした内皮細胞においてLPAの作用の空間的制御を可能にする分子メカニズムを紹介する.
「はじめに」血管は全身に張り巡らされており,幾重にも分岐した階層構造を持つ臓器である.血管は発生時,創傷治癒といった生理的状態,また癌を初めとする病的状態において形成され,この血管形成の過程は多数のシグナル分子による厳密な制御を受ける.
「KEY WORDS」リゾホスファチジン酸,オートタキシン,アクチン細胞骨格,リゾリン脂質分解酵素,G蛋白質共役型受容体

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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