特集 臓器の記憶と血管代謝ニッシェ
三次元的ミニ臓器構築による臓器記憶の再構成と解析
血管医学 Vol.16 No.4, 63-70, 2015
「Summary」近年急速に発展した多能性幹細胞研究は,二次元的な細胞分化から三次元的な組織・臓器構築を視野に入れるまでになってきた.こうした新しい研究手法を取り入れ,従来の細胞培養や動物モデルでは不可能であった「構成的に臓器機能を再現する」ことにより,臓器記憶に対する新たな多面的・複眼的理解をもたらし,臓器記憶の実体により肉薄することができると考えられる.
「はじめに」本企画において特集する「臓器記憶」に関して,記憶が形成される「場」として血管を含む臓器の微小環境が注目されている.たとえば,血管内皮細胞が遊離脂肪酸取り込みの調節細胞として働き,内皮細胞の障害は脂肪重量や糖代謝に影響することや,内皮細胞における遊離脂肪酸取り込みを低下させる薬剤が新規糖尿病薬になり得ることが示されている.
「Key words」多能性幹細胞,心血管細胞,細胞シート,積層化,ゼラチンハイドロゲル
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