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特集 臓器の記憶と血管代謝ニッシェ

老化疾患における血管代謝ニッシェの変容と臓器記憶の形成

清水逸平南野徹

血管医学 Vol.16 No.4, 43-47, 2015

「Summary」全身の臓器は微小血管と周囲に存在する臓器固有細胞からなる最小ユニットから構成され,伊藤らによりこの動的プラットフォームは「血管代謝ニッシェ」と定義された.褐色脂肪組織や白色脂肪組織といった内分泌代謝臓器において,肥満ストレスに伴う血管不全が血管代謝ニッシェの恒常性破綻と臓器機能障害を惹起し,脂肪不全から全身の代謝異常が形成されることがわかってきた.主要代謝臓器の血管代謝ニッシェの恒常性を維持することで,メタボリックストレスにより刻印された負の臓器記憶を制御し,肥満や糖尿病に対して次世代の治療法を創出できる可能性が高い.
「はじめに」老化のプロセスはいまだにその多くが謎に包まれているが,今日一定の制御メカニズムを伴った生命現象であることがわかってきた.老化研究において最も研究されているのがインスリンシグナル経路である.インスリンシグナルの抑制は寿命を延長することが多くの種,実験モデルを用いた研究により報告されている.
「Key words」血管代謝ニッシェ,インスリン抵抗性,脂肪組織,肥満

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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