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特集 臓器の記憶と血管代謝ニッシェ

アディポネクチン受容体機能低下に伴う臓器記憶の変容

岩部美紀山内敏正岩部真人門脇孝

血管医学 Vol.16 No.4, 35-42, 2015

「Summary」過食・運動不足などによる肥満に伴って慢性炎症が惹起され,これらを基盤病態とするメタボリックシンドローム・糖尿病・心血管疾患・がん・アルツハイマー病が激増している.肥満に伴って,血管代謝ニッシェを構成する血管・間質・臓器実質細胞などの機能が低下し,酸化ストレスや炎症などの種々の代謝産物異常が起こり,恒常的に繰り返されることによって臓器に記憶され,その悪循環から肥満関連の生活習慣病が発症することが考えられてきている.肥満に伴うアディポネクチンとその受容体AdipoRの作用低下が生活習慣病の原因となり,逆に増強させることが肥満に伴う糖尿病や動脈硬化を改善させ,健常な臓器状態に回復させることを報告してきた.本稿ではアディポネクチンのインスリン抵抗性改善作用の発見から,最新のアディポネクチン受容体の立体構造までを概説し,アディポネクチン経路における臓器記憶メカニズムの解明につなげたいと考える.
「Key words」アディポネクチン,AdipoR,血管,動脈硬化,糖尿病

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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