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特集 臓器の記憶と血管代謝ニッシェ

がん組織内の代謝環境変化による分子記憶形成とがん病態進展の分子機構

門松毅尾池雄一

血管医学 Vol.16 No.4, 21-28, 2015

「Summary」がん原発巣内では,がん細胞の増殖に伴う低酸素や低栄養状態などの代謝環境の変化が認められる.このようながん進展に伴い変化する代謝環境は,がん細胞のエピゲノム変化をもたらし,結果として,がん細胞の運動能や浸潤能の活性化,がん細胞由来因子による腫瘍血管新生を促進することで,がん転移促進に寄与する.また,がん細胞では,原発巣で形成された分子記憶としてのエピゲノム変化やこれに起因する細胞代謝の変化が維持され,原発巣のみならず転移した組織における生存や増殖に寄与することが考えられる.がん原発巣内の代謝環境変化による分子記憶形成の観点から,がん転移メカニズムを解明することが,新たながん病態進展の分子機構解明につながると考えられる.
「Key words」代謝環境,エピゲノム,細胞代謝,分子記憶

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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