「Summary」腸管への細菌や外来抗原による侵入や侵襲に対し,腸管関連リンパ組織と腸管神経内分泌網と協調して,腸上皮細胞間にあるtight junction(TJ)が,免疫反応と寛容の均衡をコントロールして対応していることがわかってきた.腸管防御機能とその重要な構成要素のひとつである腸上皮バリアの発達,維持に腸内細菌が深く関与していることもわかってきた.腸上皮バリアの主要な機能を司るTJは,47kDaの蛋白質として同定されZonulinと命名された.Zonulinは,小麦蛋白質から抽出されるgliadinや小腸粘膜への細菌曝露で分泌され,腸管透過性を高める.自然免疫にも関与し,自己免疫疾患,たとえば1型糖尿病の発症との関係が強く示唆されている.
「はじめに」腸管の最も重要な機能は,長年,栄養素の消化・吸収と水・電解質の恒常性維持で,20世紀後半には内分泌器官としても理解されてきた.しかし,近年の解剖学的そして機能的な腸管装備に関して詳細な分析に基づき検討した結果,腸管がその防御(バリア)機能を介して,宿主と腸管内の環境間における蛋白質,核酸,多糖類など高分子物質の往来に関与し規制する,別の非常に重要な機能を併せ持つことがわかってきた.
「Key words」腸上皮バリア,tight junction(TJ),Zonulin,腸透過性亢進,腸内細菌
「はじめに」腸管の最も重要な機能は,長年,栄養素の消化・吸収と水・電解質の恒常性維持で,20世紀後半には内分泌器官としても理解されてきた.しかし,近年の解剖学的そして機能的な腸管装備に関して詳細な分析に基づき検討した結果,腸管がその防御(バリア)機能を介して,宿主と腸管内の環境間における蛋白質,核酸,多糖類など高分子物質の往来に関与し規制する,別の非常に重要な機能を併せ持つことがわかってきた.
「Key words」腸上皮バリア,tight junction(TJ),Zonulin,腸透過性亢進,腸内細菌