【特集 脳血管構築の特異性と認知症】
脳血管をターゲットにした再生医療による認知症治療戦略
掲載誌
血管医学
Vol.15 No.1 69-74,
2014
著者名
田口明彦
/
山原研一
記事体裁
抄録
疾患領域
血液
/
神経疾患
/
脳血管障害
/
再生医療
診療科目
脳神経外科
/
神経内科
/
血液内科
/
老年科
/
精神科
媒体
血管医学
「Summary」 脳血管性認知症や老年期アルツハイマー型認知症において脳血管病変が強く関与していることが知られており, 多くの認知症に共通する治療ターゲットは脳血管であるとわれわれは考えている. 本稿では, われわれが研究してきた造血幹細胞と脳神経機能に関する基礎的および臨床的知見について概説するとともに, 造血幹細胞や間葉系幹細胞を用いた再生医療による認知症治療法開発の可能性・将来像を紹介する. 「はじめに」 神経変性に伴う認知機能障害は多くの高齢者に発症するが, その根本的な原因は神経細胞自体の障害ではなく, 神経細胞を取り巻く環境の老化・悪化であるとわれわれは考えている. われわれは, (1)脳血管障害患者の末梢血中に存在する造血幹細胞(CD34陽性細胞)の減少が脳微小循環障害や認知機能障害に相関していること1)-3), (2)急性期脳血管障害後の造血幹細胞移植が血管再生・血管保護を介して神経機能回復を促進すること4)5), (3)慢性脳微小循環障害に対する造血幹細胞移植が微小循環動態改善効果や脳梗塞後機能回復促進作用があること6), さらに(4)虚血脳における血管新生が末梢血中造血幹細胞の増加と関連していること7), など, 造血幹細胞・血管再生と脳神経機能に関する新しい知見を次々と世界に先駆けて示してきた.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。