【特集 脳血管構築の特異性と認知症】
慢性脳低灌流と認知症
掲載誌
血管医学
Vol.15 No.1 43-49,
2014
著者名
脇田英明
/
冨本秀和
記事体裁
抄録
疾患領域
神経疾患
/
脳血管障害
診療科目
脳神経外科
/
神経内科
/
老年科
/
精神科
媒体
血管医学
「Summary」 慢性脳低灌流は血管性認知症の白質病変の成因であるとともに, アルツハイマー病をはじめとする変性性認知症の増悪因子となることが報告されている. 慢性脳低灌流は実験的に再現可能であり, マウス両側総頸動脈狭窄モデルなどを用いて, 白質病変のみならず, 長期的には海馬神経細胞死に関与するなど, 認知症の病態機序への関与について多くの知見が得られている. 慢性脳低灌流モデルは, 血管性認知症の診断基準の確立や予防・治療法の開発, アルツハイマー病をはじめとする変性性認知症の病態解明にも応用されている. 今後, 慢性脳低灌流の研究を通して, 混合型認知症を含めた血管性認知障害の病態解明が進展するものと期待される. 「はじめに」 虚血性脳血管障害は血管性認知症の主要な病態であるが, 脳虚血自体もアルツハイマー病の病態の増悪因子となることが報告されている1)2). 慢性的な脳血流の低下状態, すなわち慢性脳低灌流は実験的に再現可能であり, 認知症の病態機序への関与について最近新たな知見が得られている.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。