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特集 低酸素のバイオロジー

新たな生体内酸素センサー/チャネルによる低酸素応答制御

植田誉志史高橋重成森泰生

血管医学 Vol.13 No.4, 17-25, 2012

「Summary」生物の生存においては, 体内の酸素(O2;分子状酸素)濃度変化を感知し, 適切な応答を行うことが要求される. O2濃度の変化は, さまざまな生理的反応, さらには疾患を引き起こす大きな要因となることから, O2分圧変化の感知・応答システムと制御機構の解明がきわめて重要な課題となっている. イオンチャネルはさまざまな生物的プロセスにおいて, 細胞機能を制御する役割を担っている. なかでも生体内低O2状態を感受し, その応答を制御する役割は, イオンチャネルの重要な働きのひとつである. 1988年に最初のO2感受性イオンチャネルが発見されて以来, さまざまな細胞種において, 低O2環境下でのイオンチャネルの働きが報告されてきた. 特に近年では, TRP(transient receptor potential)蛋白質により形成されるイオンチャネルがO2感受機構の一端を担っていることが新たに明らかにされつつある. 生体内O2センサーTRPチャネルを介した細胞におけるO2分圧変化の感知がどのような応答を制御し, 生理的・病理的にどのような意義を持つのか, 大きな関心を集め始めている.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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