【特集 過食時代における高血圧の病態と最新治療ストラテジー】
肥満症・高血圧・動脈硬化の共通分子基盤―慢性炎症因子Angptl2の観点から―
掲載誌
血管医学
Vol.13 No.3 43-49,
2012
著者名
堀尾 英治
/
田爪宏和
/
尾池 雄一
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
高血圧
/
代謝・内分泌
診療科目
一般内科
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循環器内科
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腎臓内科
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糖尿病・代謝・内分泌科
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神経内科
/
老年科
媒体
血管医学
「Summary」近年, 本邦でも増加しているメタボリックシンドロームは, 糖尿病や心血管疾患の発症リスクを高める病態として医学的にも社会的にも大きな問題となっている. さまざまな疫学的な研究から, 体重増加に伴い血圧は高くなり, 肥満者ほど高血圧の罹患率が高いことが明らかになっている. また, 肥満者では, 高血圧に加え糖尿病や脂質異常の罹患率も高まり, 動脈硬化の危険因子がさらに集積することも明らかになっている. 近年, 虚血性心疾患や脳卒中などの動脈硬化性疾患, 肥満症, 糖尿病に共通する基盤病態として慢性炎症が注目されている. しかし, これらの病態に関わる慢性炎症の分子メカニズムは十分には解明されていないため, 多くの研究者が今後の新たな治療法開発を目指し, その解明に挑んでいる. 本稿では, われわれが同定し解明してきているアンジオポエチン様因子2(Angptl2)と慢性炎症の観点から肥満症・動脈硬化の共通分子基盤について概説し, 肥満症における高血圧との関連について考察する.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。