特集 血管系のin vivoイメージング
オーバービュー
血管医学 Vol.13 No.2, 7-8, 2012
最近の研究により, 心筋梗塞や脳卒中などの原因となるメタボリックシンドロームや動脈硬化, さらに悪性腫瘍は慢性炎症を本態とすることが明らかになってきた. たとえば, メタボリックシンドロームでは, 遺伝子素因に加えて, 内臓肥満・加齢・喫煙などの外的誘因が加わって, 全身・局所に持続的かつ低レベルの慢性炎症が起こり, さまざまな病態を形成している. また, 動脈硬化の背景にはやはり慢性炎症が存在し, 動脈硬化巣に炎症性細胞の浸潤が認められることが知られている. つまり, 三大疾病の元となる生活習慣病や悪性腫瘍の病態は慢性炎症を基盤としていると考えられる. 感染症に代表される急性炎症に関しては病態の理解とともに, 感染症に対する特効薬(抗生物質)が開発され, 一定の治療成績を上げてきた. しかし, 慢性炎症を基盤とする慢性疾患に関しては, 慢性炎症の病態が不明であることから特効薬が存在せず, 慢性炎症が引き起こす機能障害に対し対症療法を行っているに過ぎない.
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